『デューン / 砂の惑星』フランク・ハーバート

1965 年ネビュラ賞, 1966 年ヒューゴー賞のダブルクラウン.

ハヤカワ文庫 SF(4 分冊, 76, 83, 88, 94)刊.


この作品自体は結構面白かった. ただ, この後シリーズ化されて行って読みこなすのが辛い. その上シリーズの一部, 一部が長編なんだから... ちなみにシリーズ各部の題名は,

デューンシリーズ
『砂の惑星』(Dune)
『砂漠の救世主』(Dune Messiah)
『砂丘の子供たち』(Children of Dune)
『砂漠の神皇帝』(God Emperor of Dune)
『砂漠の異端者』(Heretics of Dune)
『砂漠の大聖堂』(Chapterhouse: Dune)

で, 文庫本で 17 冊になっています. 大聖堂の次を書き上げる手前でハーバートは死んでしまい, これで終りかなと思っていたら, 彼の子供が後を引き継いで書いている と言う話がチラホラ. まだまだこのシリーズとのつき合いは続きそうです. まあ, ナンヤカンヤ言いながらも続編を読ませるのは, 面白いからなんでしょう... 実の所, 惰性で読んでいるので面白さが分からなくなって来ています.

大きく話がそれましたが, 本編の内容に戻って... 未来宇宙の架空の惑星を舞台にした支配階級の一家の物語で, 権力抗争や思想, 宗教, 未知の生物をからめて話が展開と, ありがちな話なんですが設定, 表現が細かく行き届いているのが秀逸. 読み手にとって辛いのが文章中に出て来る(架空の)未来用語. シャイ・フルド, フレーメン等は発音しやすい(?)からまだしも, ムアドディブ, クイサッツ・ハデラッハ等に至っては読むのも辛い. 海外の小説を読んでいて長ったらしい人名が出て来るだけで嫌な私には... 友人とデューンの話をしていてお互いの読み違いに気付く事もありました. (私はサルダウカーをサウダルカー, クイサッツ・ハデラッハをクッサイツ(臭い!?), 友人に至ってはハラデッハ(腹出っ歯!?))

余談ですがアニメ『風の谷のナウシカ』のあのバカでかい生物 'オーム' は, この『デューン』の砂虫 'ウォーム' からのパクリっぽくて腹が立ちません?


上の文章を書いてからはや ? 年. フランクの子供ブライアンの作品が遂に邦訳され始めました. ケヴィン・J・アンダースンとの共著となっています. 内容としてはこれまでの続きではなく, 前史に当たるものになっています. 正直言って七光り嫌いの私としては, 内容に関しては 全く期待していなかったんですが, 読んでみると結構行ける. と言うよりかなり面白い部類に入ります. 少なくとも私にとっては親父さんの書いたシリーズ後半の作品, 神皇帝, 異端者, 大聖堂よりも上です. いやが応にも『デューン 7』への期待が高まります.

デューンへの道 (Prelude to Dune)
『公家アトレイデ』(Dune: House Atraides)
『公家ハルコンネン』(Dune: House Harkonnen)
『公家コリノ』(Dune: House Corrino)

デューンの伝説 (Legends of Dune)
『(未訳)』(Dune: The Butlerian Jihad (2002))
『(未訳)』(Dune: The Machine Crusade (2003))
『(未訳)』(Dune: The Battle of Corrin (2004))


Sequels of Dune は親父さんフランクの構想『デューン 7』を基にしている とのことです. ちなみにシリーズ名の邦訳, 『デューンへの道』までは ハヤカワ書房での命名ですが, 以降は私が勝手に付けたモノです. 翻訳の際にはシリーズ名の訳し方も変わるかも知れません.

デューンその後 (Sequels of Dune)
『(未訳)』(Hunters of Dune (2006))
『(未訳)』(Sandworms of Dune (2007))
デューンの英雄 (Heroes of Dune)
『(未訳)』(Paul of Dune (2008))
『(未訳)』(The Winds of Dune (2009))
『(未訳)』(Princess of Dune (2023))
デューンの教え (Great Schools of Dune)
『(未訳)』(Sisterhood of Dune (2012))
『(未訳)』(Mentats of Dune (2014))
『(未訳)』(Navigators of Dune (2016))
惑星カラダン (The Caladan Trilogy)
『(未訳)』(The Duke of Caladan (2020))
『(未訳)』(The Lady of Caladan (2021))
『(未訳)』(The Heir of Caladan (2022))