Last modified: Sat Jan 09 15:21:21 JST 2021

行と列の話

行と列, 面倒ですよね. 私は日本語で書くときはあまり迷わずに済んでいるんですが, 英語の row cloumn に対応させる時には, あれ, どっち? と立ち止まることがしばしば.

日本語での行と列

日常生活では, 縦横関係なく殆どの場面で「列」を使っていますよね. 唯一「行」を使ったのは「教科書の何行目を読んで」など, 学校生活の中だけだったような. その教科書でも, 国語の教科書は縦書きで右の縦ラインから左に向かって, 1 行目, 2 行目, ... 数学の教科書は横書きで上の横ラインから下に向かって 1 行目, 2 行目, ... 結局, 縦ライン/横ラインどちらも「行」と言っていました.

私の感覚では, まさに教科書での呼び方が身についていて,

となっています. 数学で行列の話が出てきても, 現代数学は横書き文化圏のもので 横ラインが 1 行だと, 素直に理解していました. どちらかといえば列はオマケで, 行と交差する並びが列(行で無い方向が列)との解釈です.

数学で違和感があったのは, XY 座標との感覚の違いです. 通常 X は水平方向 Y は垂直方向を示し, (3, 2)の要素と言えば x = 3, y = 2 の位置を示します. ところが行列 A で x = 3, y = 2 の位置に相当する要素は a23 (時には a2,3)と表現します. つまり添字の部分は (x, y) 並びでなく (y, x) 並びとなります. 行と列で言えば 2 行 3 列目の要素と言うことで, (行, 列)並び, まさに行列の言葉通りの並びなんですが...

\(3\) 行 \(4\) 列の行列 \(A\) (\(3 × 4\) の行列 \(A\)) の \(2\) 行 \(3\) 列目の要素 (\(\mathrm{XY}\) 座標感覚で言えば \((x, y) = (3, 2)\) の位置) \[ A = \begin{vmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13} & a_{14} \\ a_{21} & a_{22} & \textcolor{red}{a_{23}} & a_{24} \\ a_{31} & a_{32} & a_{33} & a_{34} \end{vmatrix} \]

ところで上の行列式, きれいに表示できているでしょうか? MathJax を利用しています. MathJax は Web ブラウザ上で数式を表示するための JavaScript ライブラリです. 使ってみたかったんです.

英語での row と column

MS-Excel なども基本的に数学と一緒で, A 列 1 行目とか, 2 行目 C 列とか 行と列を使って表現するのはあまり困りません. 但し, 英語で row, cloumn を 使って話をするときにはドギマギしてしまっていました.

最初のうちは考えるのが面倒で, row, column の代わりに line, char を 使っていました. 7th line の 2nd char など... これは相手に伝えるには 間違いなく伝わる良い方法でした. 但し, こちらから伝える場合はこれで 良いのですが, 相手が row, column を使って話してくると困ります.

TeX と言う文書組版ソフトで横書きの 2 段組みにする際に two column モードと 呼んでいたから「縦の塊(= 列)が column だ」とか, コラムスと言うテトリス風の縦棒が落ちてくるゲームがあって, 「縦棒がコラムだ」とか思い浮かべていたのですが, 無理に思い浮かべること自体が, ひと手間余分に掛かっていることになり 面倒です.

Emacs でモードライン表示の設定の際に, line, column と言う名称を使っています. 結局はこのおかげで「row = line = 行」と「column = 列」が身につき, すっと解釈できるようになりました. めでたしめでたし.